文部科学省が毎年実施している「通級による指導実施調査」の結果によれば、公立の義務教育段階の学校に通う子供のうち、障がいがあるために通級による指導を受けている子供たちの数が増加しています。
特に注目すべきは、発達障がいと呼ばれる一連の脳機能障がいに該当する子供たちの割合が著しく増加していることです。
具体的には、発達障がいに該当する子供たちの数は2006年度と比較して、17年度には約8倍に増加し、その数は5万4,247人に達しています。
この増加傾向は、特に注意欠陥多動性障がい(ADHD)、学習障がい(LD)、自閉症などが含まれる発達障がいの子供たちに顕著に見られます。
発達障がいは、身体、学習、言語、行動など、さまざまな領域で一連の症状を示す脳機能障がいの総称です。この病態は、世界的には第二次世界大戦以降に注目を浴びるようになり、日本においても発達障害の社会的認知が遅れていました。
発達障がいへの国の本格的な取り組みは、00年に愛知県豊川市で発生したアスペルガー症候群の少年による主婦殺人事件を契機に始まり、05年に発達障がい者支援法が施行されるなど、比較的最近のことです。
発達障がいを持つ子供たちに対する支援体制は、喫緊の課題となっています。
しかし、実際には特別支援教育支援員や指導補助員を配置している学校は限られており、多くの学校は「学級担任及び教科担任の個別対応」が主要な支援方法なのです。
その結果、発達障がいに関する専門知識や経験を持つ教員やスタッフの不足が問題となっています。
このような状況から、発達障がいを持つ子供たちに対する適切な支援が求められています。
発達障がい者支援法の施行により、一定の進展は見られていますが、まだまだ課題は山積しています。
発達障がいを持つ子供たちは、社会生活において困難を抱えやすい特性を持っていますが、その特性を理解し、適切な支援を提供すれば、彼らも社会で活躍する可能性を秘めているのです。
したがって、国や社会全体が協力し、発達障がいを持つ子供たちに理解と支援を提供することが重要であり、発達障がいを持つ子供たちの特性を理解し、彼らが持つ個々の才能を発見し、伸ばすためには、専門知識と資源の充実が不可欠です。
「教育新聞」記事より抜粋